第五届人民中国杯日语国际翻译(笔译)大赛
二等奖
组别:本科组
项目:汉译日
日语2005班潘雅美
月光を浴びた母
「我跟陈老师说,我母亲病了,我要回去看她。陈老师同意了。陈老师不可能不同意。因为现在已是下午5点,我在县中学寄宿,我家离学校有30多里。这个时候来请假,想必我母亲病得很重。
母が病気で倒れたので、お世話のために帰らせていただけないでしょうか」と陳先生に願いし、承諾をいただいた。もっとも陳先生が納得してくださらないはずがなかった。すでに午後の五時だし、自宅は下宿している県立高校から十五キロ以上も離れているし、この時点で休暇をもらいに来た以上、重病に違いないだろう、と先生に思われた。
我不是一个好学生,我撒了谎。我母亲根本没病,我是饿了,或者说是馋了。学校食堂的饭太难吃了,天天吃咸菜,顿顿吃腌萝卜,我都吃腻了,我要回去吃一碗我母亲做的鸡蛋手擀面。
だが、私は正直な学生ではなく、先生に嘘をついてしまったのだ。母は全く病気でも何でもない、ただ私はお腹が空いたというか、食い意地が張っていたのだった。学食はまずくて、毎日漬物やら沢庵ばかりでもううんざりしたからだ。どうしても家へ帰っておふくろの手作り卵そうめんが食べたくてしょうがないのだった。
我最爱吃母亲做的鸡蛋手擀面了。我们学校只有在每月月底两天放假,其他时间学生都在学校寄宿。每个月上学的那天清晨,母亲都会为我做一碗鸡蛋手擀面。上学太没意思了,如果不是这碗鸡蛋手擀面,我想我一天学也不愿上。
おふくろの手作り卵そうめんが大好きだった。うちは寄宿学校で、月末に二日間しか休まなく、それ以外の期間は学生寮に住まないといけないことになっていた。毎月、学校に行く当日の朝、母はいつも手作り卵そうめんを作ってくれるようにしていた。学校はとんでもなくつまらないところなので、母の手作り卵そうめんがないと、きっと一日も行く気にならないだろうと思った。
我坐最后一趟班车到镇上,镇上已经没有机动车的影子,我只好徒步回家。天上的月亮真大,地上一个行人也没有。我走啊走,肚子饿得发慌,心里只盼着早点吃到母亲做的鸡蛋手擀面,步伐便愈来愈快。
終発のバスで町に着いたところ、すでに車の気配がなくなって歩いて帰るしかなかった。夜空には大きな月がかかり、路上には誰もいなかった。歩いて歩いて、無性にお腹が空いてたまらなくなってきた。一刻も早く母の手作り卵そうめんを食べたいと思うばかりで、どんどん歩き出した。
走到四流山时,我借着月光看见我们村打谷场上有一个人影。那人正奋力地在木桶上抽打着成垛的麦子。那时,我们那里还没有脱粒机这样的农用机械,即便有也没人用得起,家家户户都是这样手工脱粒。这种脱粒方式速度慢、效率低,要赶在入秋时将全部的谷子脱粒归仓,实在是一项顶耗时费力的大工程,但即便如此,也从来没听说过有人连夜赶着脱粒的。
四流山あたりまでいくと、月明かりに照らされた村の脱穀場に人影が見えてきた。小麦の茎を握り、それを樽のほうへ必死に叩いている人がいた。当時は脱穀機のような農業機械がなく、それがあってもなかなか買えないため、どの家庭でも手作業で脱穀していたのは普通だ。この脱穀方法は時間もかかるし、効率も悪いので、秋口までにすべての穀物を脱穀するにはかなり長い時間を費やす作業だった。とはいっても、徹夜して脱穀を急ぐという話は耳にしたことがない。
我在心里嘀咕,是谁这么晚还在干活儿呢,心下突然有一种不好的预感。我加快步伐走到家门口,赶紧用手摸门。我的手摸到了一把铁锁。我知道,打谷场上的人不是别人。我哭了。还能是谁呢?别人家都是夫妻二人一起赶工,我父亲在浙江打工,家里家外的活儿只有母亲一个人干,除了她还能是谁呢?我哭了,号啕大哭。
こんな夜中に誰がまだ働いているのだ、と心の中で呟くと、ふと虫の知らせが起こった。私は玄関先への足取りを速め、慌ててドアに手を触れると、鉄の錠がかかっていたと気が付いた。脱穀場にいた人は誰かが言うまでもなかった。それがわかると、涙が抑えきれないほど流れ出した。他に誰もいないだろう。よそでは、夫婦二人で協力して脱穀していた。しかし、父が浙江省へ出稼ぎに行っているため、母は内外を問わず家の事なら全て一人でこなしてやってきた。そこにいたのは彼女でないと誰だろう。私は泣いた。号泣した。
母亲做的鸡蛋手擀面好吃,她自己却从来舍不得吃一碗。母亲就这样舍不得吃,舍不得穿,还要没日没夜地干活供我上学……等我哭完,我没拿钥匙开门,也没去打谷场喊母亲,而是扭头往学校的方向走去,鸡蛋手擀面也被我全然抛到脑后。
おふくろの手作り卵そうめんが美味しいけど、それを作った本人は一度も食べたことがないようだ。このように、母はきわめて質素な生活を送りながら、私を学校に通わせるために、昼夜をおかずひたすら働いていた。泣き終わって、私は鍵で扉を開くこともせず、脱穀場へ行って母に声をかけることもせず、学校の方へ引き戻した。手作り卵そうめんのことはすっかり頭の後ろへ置き去りにした。
我知道路上肯定没有车了,只能徒步回学校,就算这样,我也决计不回头。茫茫月光下,乡村公路上阒寂无人,我一个人赶夜路,却没有感到一丝害怕。我徒步30多里路回到学校时,天已经大亮。
路上にはもう走っている車がなく、学校まで歩いて帰るしかないと覚悟した。それでも引き返さないと決意を固めた。ほのかな月明かりを浴びた田舎道は人通りもなくて静かだった。夜道を歩いているのは私一人しかいないが、少しも怖く感じなかった。十五キロもの道のりを歩いて学校に辿り着いたとき、もう夜がすっかり明けてしまった。
陈老师关切地问我母亲的病怎样了,我说我母亲没病,是我病了。说着,我的眼泪又不争气地落下来,怎么也止不住。陈老师不明所以地看着我,想问我为什么哭,但似乎很快明白了什么。他终于没开口,只是轻轻地拍了拍我的肩膀。
陳先生が母親の様子を熱心に聞いてくれた。「病気になったのは母親ではなく、私です」と私は答えた。そう言いながら、涙がまたも、とめどなく零れ落ちてきた。陳先生は、訳がわからい顔をしながら、どうして泣くのかと聞かんばかりであったが、ふと何か気付いたようだ。彼はとうとう何も言わず、ただ私の肩をそっと叩いてくれてすんだ。
我知道,我该收起自己的娇贵病,也该认真学习了。从昨晚到今晨一粒米没进,但我一点儿也不觉得饿,我径直向教室走去。我以前只知道有人冒着毒辣的阳光干活儿;那一晚,我知道,也有人顶着月光干活儿。
私はそろそろ甘え癖を捨てて、真剣に勉強に取り組まないといけない、と決心した。昨晩から今朝までご飯を一粒も食べていなかったのに、全く空腹を感じないで、そのまま教室に向かって歩いていった。今まで炎天下で働く人がいると知っていただけだが、その夜を過ぎてはじめて、月光を浴びながら働く人もいるとわかるようになってきた。