葉子は四角なガラスをはめた入り口の繰り戸を古藤が勢いよくあけるのを待って、中にはいろうとして、八分通りつまった両側の乗客に稲妻いなずまのように鋭く目を走らしたが。
入口的车门镶着四方形的玻璃,叶子等着古藤用力把它打开,正要走进去,眼睛却闪电般锐利地瞥了一眼两侧挤得满满当当的乘客。
左側の中央近く新聞を見入った、やせた中年の男に視線がとまると、はっと立ちすくむほど驚いた。
只见她的视线停留在左侧靠近中央附近的一个聚精会神地看报纸的瘦弱的中年男人身上时,突然站住似乎吓了一跳。
葉子と木部との間柄はこんなたわいもない場面を区切りにしてはかなくも破れてしまった。
叶子和木部的关系就在这样平淡无奇的场面中破裂了。
木部はあらんかぎりの手段を用いて、なだめたり、すかしたり、強迫までしてみたが、すべては全く無益だった。
木部使用了所有的手段,安抚、恐吓,甚至强迫,但都无济于事。
いったん木部から離れた葉子の心は、何者も触れた事のない処女のそれのようにさえ見えた。
叶子的心一旦离开木部,看起来就像一个从未经过世事的处女。